「もう打つ手がない」と言われた時にやるべきこと


このTEDを一言で
「もう打つ手がない」と言われた時、本当に何もできないのか?致命的な希少疾患で死の淵に立った医師が、自ら治療法を発見した。 絶望を希望に、希望を行動に変えるための具体的なアプローチを紹介する。
講演者について
デヴィッド・ファジェンバウム(David Fajgenbaum)
医師、科学者。致命的な希少疾患「キャッスルマン病」で5回も死の淵をさまよった。医師から「もう打つ手がない」と告げられた後、自ら研究を始め、既存の薬の転用で治療法を発見。現在は「Every Cure」の共同創設者として、AIを活用して承認済みの薬から新たな治療用途を発見する研究を行っている。
キア・ウィリアムズ(Kiah Williams)
社会起業家。「SIRUM」の共同創設者で、アメリカ最大の余剰医薬品再配分機関を運営。低所得者層への医療アクセス拡大に取り組んでいる。
「もう打つ手がない」と言われた日
デヴィッドは医学生だった時、突然体調を崩した。
診断は「キャッスルマン病」。免疫システムが暴走し、臓器を破壊していく希少疾患。彼は5回も死の淵をさまよった。
医師から言われたのは、「もう打つ手がない」。
普通なら、そこで諦める。でもデヴィッドは違った。
彼は医師であり、科学者でもあった。「本当に何もないのか?」と自分に問いかけた。
既存の薬に「隠れた治療法」がある
デヴィッドが気づいたのは、FDA(米国食品医薬品局)に承認されている薬の中に、まだ発見されていない治療用途があるということ。
薬は通常、特定の病気のために開発される。でも、その薬が別の病気にも効く可能性がある。これを「ドラッグ・リポジショニング(薬の転用)」と呼ぶ。
デヴィッドは自分の病気に効く可能性のある既存薬を探し始めた。そして、ある免疫抑制剤が自分の病気に効くことを発見した。
彼は今も生きている。
この経験から、彼は「Every Cure」を立ち上げた。AIを活用して、承認済みの薬から新たな治療用途を発見する「計算薬物表現型学」という新分野を開拓している。
7億7000万ドルの薬が捨てられている
一方、キア・ウィリアムズは別の問題に取り組んでいた。
アメリカでは、毎年数十億ドル相当の未使用医薬品が廃棄されている。一方で、薬を買えない低所得者層が大勢いる。
この矛盾を解決するために、彼女は「SIRUM」を設立した。余剰医薬品を回収し、必要な人に届ける仕組み。
The Audacious Projectの支援を受け、SIRUMは7億7000万ドル相当の医薬品を1000万人の低所得者層に届けることを目指している。
「何もできない」を疑う
二人の講演に共通するのは、「何もできない」という前提を疑うこと。
デヴィッドは「もう打つ手がない」と言われても、自分で調べ、既存の薬の中に答えを見つけた。
キアは「捨てるしかない」とされていた薬を、必要な人に届ける仕組みを作った。
「もう何もできない」と言われた時、本当に何もないのか?
別の角度から見れば、まだ試していない選択肢があるかもしれない。すでに存在するリソースの中に、答えが隠れているかもしれない。
希望を行動に変える
デヴィッドはこう語る。
絶望的な状況に陥った時、希望を持つだけでは足りない。希望を具体的な行動に変える必要がある。
彼の場合、それは「既存の薬のデータベースを調べる」という行動だった。キアの場合、それは「余剰医薬品を回収するシステムを作る」という行動だった。
希望は受動的なものではない。自分から動くことで、状況は変わる。
明日から使えるアクション
「もう何もない」を疑う:絶望的な状況でも、まだ試していない選択肢がないか探す。別の専門家に相談する、別の角度から調べる
既存のリソースを見直す:新しいものを作る前に、すでにあるもので使えるものがないか考える。答えは意外と近くにあるかもしれない
希望を行動に変える:「いつか良くなる」と待つのではなく、今日できる小さな一歩を踏み出す
感想
「もう打つ手がない」と言われて、自分で治療法を見つけた話は衝撃だった。
普通なら、医師に「もう何もない」と言われたら諦める。でもデヴィッドは「本当にそうか?」と疑った。そして、既存の薬の中に答えを見つけた。
これは医療の話だけじゃないと思う。仕事でも、人生でも、「もう打つ手がない」と感じる瞬間はある。でも、本当に何もないのか?別の角度から見れば、まだ試していない選択肢があるかもしれない。
キアの「余剰医薬品を届ける」という発想も面白かった。問題は「薬がない」ことじゃなくて、「届いていない」こと。すでにあるリソースを、必要な人に届ける。シンプルだけど、大きなインパクトがある。
「希望を行動に変える」という言葉が残った。約29分の講演なので、気になった方はぜひ。