「聞いてるよ」が相手をイラつかせる理由


このTEDを一言で
「ちゃんと聞いてた」のに「聞いてない」と言われる。問題は、聞いているかどうかじゃない。相手が「今、何を必要としているか」に合わせて聴けていないことだ。 4つの聴き方を使い分ける「SAIDフレームワーク」を紹介する。
講演者について
ミーガン・ステファンズ & ニコール・ローウェンブラウン(Maegan Stephens & Nicole Lowenbraun)
リスニングの専門家。リーダーシップと対人スキルに関する共著を持ち、企業向けのコミュニケーション研修を行っている。二人は「聴くことについての本」を共同執筆する過程で、自分たち自身が「聴けていなかった」ことに気づいた。
「聞いてるよ」が通じなかった日
講演者の二人は、本の執筆中にこんなことがあった。
締め切りに追われる中、ニコールがミーガンに言った。
「止めて。聞いてくれてない」
ミーガンは驚いた。「いや、聞いてたよ」と。
でも問題は「聞いていたかどうか」じゃなかった。ニコールが必要としていた聴き方と、ミーガンが提供していた聴き方が、ズレていたのだ。
SAIDフレームワーク:4つの聴き方
二人が開発した「SAID」は、相手が求める聴き方を4つに分類したフレームワーク。
1. Support(サポート)
相手が感情的なサポートを必要としている時。
必要なのは、解決策じゃない。「大変だったね」「それはつらいね」と気持ちを受け止めること。
講演者の例:ニコールがクライアントへの提案を「全員、最下位評価」と言われた時、ミーガンは「失望しただろう」と感情を認めた。それだけで、ニコールの緊張が解けた。
ポイントは、アドバイスを急がないこと。ただ頷く、深呼吸を合わせる、一緒に座っている。それだけで十分な場合がある。
2. Advance(前進)
プロジェクトを前に進める必要がある時。
決断を促し、次のステップを明確にする聴き方。
この場合は、相手の話を遮ることすら有効になる。「で、結論は?」「次は何をする?」という質問が、前進を助ける。
3. Immerse(没入)
詳細と背景情報を吸収する必要がある時。
新入社員のオリエンテーション、専門家からのレクチャー、複雑な状況の説明を聞く場面。
ここでは、質問を挟まず、まず全体像を把握することが大事。メモを取りながら、情報を整理する。
4. Discern(識別)
批評と評価が必要な時。
リスクを発見し、問題点を指摘する聴き方。
講演者の例:ミーガンがエグゼクティブのプレゼンをコーチングしていた時、スライドに同じフレーズが22回繰り返されていた。「AIが書いた可能性がある」と指摘する必要があった。
この聴き方は、相手のためを思って「厳しいことを言う」場面で必要になる。
自分のクセを知る
人には「自然にやりがちな聴き方」がある。
**Advance型(前進型)**の人は、すぐに「で、どうするの?」と結論を急ぐ。相手がサポートを求めている時にこれをやると、「聞いてくれてない」と言われる。
**Discern型(識別型)**の人は、問題点を見つけるのが得意。でも相手が励ましを求めている時に「ここがダメだね」と言うと、関係が壊れる。
講演者のミーガンはAdvance型、ニコールはDiscern型。二人が衝突したのは、お互いが「自分のスタイル」で聴いていたから。
たった一つの質問
講演者が最後に伝えるのは、シンプルなアドバイス。
「この人は今、私から何を必要としているのか?」
この質問を自分に投げかけるだけで、聴き方が変わる。
相手が愚痴を言っている時、求めているのは解決策か?サポートか?
相手が長々と説明している時、必要なのは没入か?前進か?
「自分が聴きたい方法」ではなく、「相手が必要とする方法」で聴く。それが「聴き上手」の正体だ。
明日から使えるアクション
まず「サポート」から入る:どんな会話でも、最初に感情を受け止める。「大変だったね」「それはつらいね」。アドバイスは後でいい
自分のクセを把握する:自分は結論を急ぐタイプか?問題点を指摘するタイプか?そのクセが相手のニーズとズレていないか確認する
「今、何を必要としてる?」と聞く:わからなければ、直接聞いてしまう。「アドバイスが欲しい?それとも聞いてほしいだけ?」
感想
「ちゃんと聞いてたのに、聞いてないと言われる」。これ、身に覚えがありすぎる。
自分はたぶんAdvance型だと思う。相手が悩みを話し始めると、すぐに「で、どうするの?」「こうすればいいんじゃない?」と言いたくなる。でも相手が求めていたのは、解決策じゃなくて「大変だったね」だったのかもしれない。
「サポートはすべての会話に必要」という話が刺さった。どんな場面でも、まず感情を受け止める。それだけで、相手の態度が変わる気がする。
「この人は今、私から何を必要としているのか?」という質問、今日から使ってみようと思う。約12分の講演なので、気になった方はぜひ。