職場の人間関係、「頑張れば報われる」は嘘だった

このTEDを一言で
「努力すれば報われる」と信じて徹夜で仕事をしていた心理学者が、上司から言われた一言。「クライアントとの関係構築が必要」。え、仕事できてるのに?そこから始まった研究が、職場で本当に必要なものを明らかにした。
講演者について
Alyssa Birnbaum(アリッサ・バーンバウム)
心理学者。大学卒業後、「完璧な仕事」をしても評価されなかった経験から、職場の人間関係を研究。Jane Duttonの「高品質な関係」研究を基に博士課程で調査を行った。
「完璧な仕事」なのに評価されなかった
講演者は大学卒業後の初職で、こんな働き方をしていた:
- 徹夜で仕事をこなす
- 完璧なパワーポイントを作る
- 議事録は細部まで正確に
それで上司から言われたのは「クライアントとの関係構築が必要」。
困惑した。仕事はできてる。成果も出してる。なのに「関係構築」?
でも研究を重ねて分かった。職場での成功は努力だけでは不十分。同僚との関係が、engagement、燃え尽き症候群の軽減、職場環境の改善に直結する。
孤独は「リモートワーク」より前から問題だった
パンデミックでリモートワークが増えて「孤独」が話題になった。でも実は、パンデミック前から米国では約50%の人が孤独を経験していた。
職場にいても孤独。
だから「出社すれば解決」ではない。意図的に関係を構築する必要がある。
職場の関係を良くする3つの方法
1. 会話を「広げる」
「週末はどうでしたか?」「まあまあでした」
これで終わる会話、多くない?
開かれた質問をする:「週末はどうでしたか?」より「週末のハイライトは?」
広げる回答をする:天気の話でも、個人的な背景を含める。「天気良かったですね」じゃなくて「天気良かったから犬の散歩で隣人と話しました」
礼儀的な挨拶を超えることで、関係が深まる。
2. 共通点を見つける
人間は「帰属感」を必要としている。
「でも同僚と共通点がない」と思うかもしれない。年齢も違う、趣味も違う、人生のステージも違う。
でも共通点は必ずある:
- 猫が好き
- 同じ音楽の趣味
- 似たような経験
リモートワークなら、背景に映っているものを話題にできる。「その本棚にある本、面白そうですね」
3. 配慮を示す
相手が「自分は重要な存在だ」と感じられるようにする。
やるべきこと:
- 相手の目を見る
- 相槌を打つ
- 関連する質問をする
- ジョークには笑う
- メモを取る
やってはいけないこと:
- スマートフォンを見ながら話す
- 上の空で聞く
スマホを見ながら話を聞くのは「あなたは重要じゃない」というメッセージ。
重要な発見:数より質
研究で分かったこと:
高品質な関係の「数」より「質」が重要
1人との良い関係でも、複数との良い関係でも、効果は同じ。「たくさんの人と仲良くならなきゃ」と焦る必要はない。
対面とビデオ通話(カメラオン)は同等
リモートでも、カメラをオンにすれば対面と同じ効果が得られる。
音声のみは低品質な関係につながる
電話やカメラオフの会議は、関係構築には向かない。
リーダーがやるべきこと
講演者はリーダーの責任にも言及した。
リーダーは関係構築の「文化」を作る立場にある。特にリモートチームでは:
- 会議の冒頭でチャット時間を確保する
- バーチャルランチを実施する
- 従業員に「どうやって繋がりたいか」を聞く
- 意図的に接続時間を設定する
「自然に仲良くなる」を待っていてはダメ。意図的に場を作る。
一番難しいのは「本気で気にかける」こと
講演の最後に、講演者はこう言った。
テクニックは簡単。でも一番難しいのは「authentic(本気)であること」。
表面的に質問しても、相手には分かる。本当に相手を気にかけているか。興味を持っているか。
テクニックの前に、まず「この人のことを知りたい」という気持ちが必要。
明日から使えるアクション
「週末どうでした?」の代わりに「週末のハイライトは?」と聞く
自分の回答にも個人的な背景を入れる。「忙しかったです」じゃなくて「子供の運動会で忙しかったです」
同僚との共通点を1つ見つける。年齢や趣味が違っても、何か1つはある
会議中、スマホを見ない。相手の目を見て相槌を打つ
感想
「完璧な仕事をしてるのに評価されない」という導入が刺さった。自分も同じ経験がある。成果物は問題ないのに「もっとコミュニケーションを」と言われて「?」ってなる。
「数より質」というのは救いだった。「職場でたくさん友達を作らなきゃ」と思うとハードルが高い。でも1人でいい。1人との関係を深めればいい。
リモートワークで「カメラオフ」がデフォルトになってる職場も多いけど、関係構築には向かないらしい。カメラオンを強制するのは違うけど、「カメラオンのほうが関係は深まる」というデータは知っておいて損はない。