脳を変える「毎日の習慣」——マンホールの蓋が人生を変えた話

このTEDを一言で
最悪の1日の帰り道、ふとマンホールの蓋を見て「丸いのは安全のためか、すごいな」と思った。その瞬間、自分が「appreciation(感謝・評価)中毒」だと気づいた。この習慣が、人生を驚くほど楽しくする。
講演者について
Timm Chiusano(ティム・キウサノ)
元企業マネージャー(270人のチームを管理)。48歳でSNSを始め、日常を「appreciation」の視点で発信したところ、150万人のフォロワーを獲得。「大人になるのが怖くなくなった」というコメントが多数寄せられている。
3つのポイント
1. 最悪の日に、マンホールの蓋に感動した
2018年、講演者のキャリアで「ワースト3」に入る最悪の日だった。270人のチームを管理していて、全員が同じ日に同じタイミングでメルタダウン。8時間の険悪な会議。しかも春にはレイオフが控えていて、それを知っているのは自分だけ。
帰り道、また遅刻だ、と思いながら地下鉄を降りる。スマホを見ると上司から「明日9時に来い。覚悟しとけ」というメール。
そのとき、ふとマンホールの蓋が目に入った。
「マンホールの蓋って丸いのは、四角より安全だからだよな。しかもインドで作られてるらしい。ニューヨークにあるのに。面白いな、あとで調べよう」
……待って、なんで今そんなこと考えてるんだ?
これが「appreciation中毒」に気づいた瞬間だった。
2. appreciationは「感謝」とは違う
appreciation(アプリシエーション)とgratitude(グラティチュード、感謝)は違う。
感謝は「何かをもらったから、ありがとう」という取引的なもの。appreciationは、ただ「いいな」と気づくこと。何ももらわなくても、存在そのものに価値を見出すこと。
ラトガース大学の教授の研究でも、appreciationは「気質」になりうることが証明されている。感謝はappreciationを構成する8つの要素のうちの1つにすぎない。
日常の中で「気づく」だけで、このマインドセットは身につく。
3日連続で雨?「貯水池にはいいかも」 職場の天敵?「この人を理解してみよう。相手の立場に立てば、関係で優位に立てる」
これがappreciationの力だ。
3. 「あなたの人生だったら、もっとうまくやれた」とは言えない
人をappreciateする最も簡単な方法がある。
隣の席を取られた。列に割り込まれた。イラっとする。
でもこう考えてみる。「この人の人生を、生まれてから今日まで全部引き受けて、自分ならもっとうまくやれたか?」
答えはNO。絶対にそうは言えない。
それがわかれば、相手をappreciateできる。
明日から使えるアクション
講演者が提案する方法:
今夜、寝る前に「電球」について考えてみる。当たり前すぎて感謝しないけど、照明が気分に与える影響、部屋を明るくしてくれること。「すごいな」と一瞬思うだけでいい
イラっとする人がいたら「この人の人生、自分ならもっとうまくやれたか?」と問う。答えはNOだから、少し優しくなれる
日常の「当たり前」に「いいな」と気づく練習をする。マンホールでも、信号でも、なんでもいい
感想
「感謝」と「appreciation」の違いが面白かった。感謝は「もらったから返す」という取引。appreciationは「ただ気づく」こと。何ももらわなくても、存在に価値を見出す。
最悪の日にマンホールの蓋に感動できるって、ある意味最強のスキルだと思う。状況は変わらなくても、見え方が変わる。
「この人の人生を全部引き受けて、自分ならもっとうまくやれたか?」という問いも使えそう。答えは絶対NOだから、誰に対しても少し優しくなれる。