チームが失敗する「意外とシンプルな理由」

チームが失敗する「意外とシンプルな理由」
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このTEDを一言で

NASAの火星探査機が墜落した理由は、技術的な問題ではなかった。「ねえ、単位はニュートンだよね?」と確認しなかっただけ。チームが失敗する原因の多くは、「当たり前すぎて聞けなかった」こと。


講演者について

Tessa West(テッサ・ウェスト)

NYU心理学教授。組織内のミスコミュニケーションを20年以上研究。なぜチームは重要な情報を持っているのに失敗するのかを専門に研究している。


3つのポイント

1. 火星探査機が墜落した理由は「単位の確認をしなかった」こと

1999年、NASAの火星探査機「マーズ・クライメイト・オービター」が火星の大気圏で燃え尽きた。原因は技術的な欠陥ではなかった。

NASAのジェット推進研究所はメートル法(ニュートン)を使っていた。ロッキード・マーティンはヤード・ポンド法(ポンド)を使っていた。この差は4.4倍。

でも誰も「ねえ、単位はニュートンだよね?」と確認しなかった。

当たり前すぎて聞けなかったのだ。

講演者はこれをお菓子作りに例えた。レシピに「バター1」と書いてあったとき、あなたは1ポンドだと思い、相手は1キロだと思っている。ケーキはまずくなる。

会議で「基本的なことを確認しましょう」と言う人がいると、みんな目を回す。「そんなの当たり前だろ」と。でもその「当たり前」がズレていると、火星探査機が燃える。

2. 重要な情報を持っている人ほど、それを共有しない

心理学の有名な実験「隠れたプロファイル課題」がある。

4人のチームで採用候補者を評価する。それぞれに情報パケットが渡される。1人だけが「候補者Cが実は最適」という決定的な情報を持っている。

結果:約370チームのうち、正解(候補者C)を選んだのはたった20%だった。

なぜか。チームは「みんなが知っている情報」ばかり話し合い、「1人だけが知っている重要な情報」は共有されにくい。

その情報を持っている人は「こんなこと言っていいのかな」「的外れだと思われないかな」と躊躇する。重要な情報ほど、共有されない。

さらに厄介なのは、コミュニケーションがうまくいっていないことに気づかないこと。普通なら「あれ、噛み合ってないな」という赤信号が見えるはず。でもこの場合、赤信号が見えない。

3. 「隠れた言語」がチームを分断する

チームは無意識に「隠れた言語」を作る。略語、専門用語、内輪のスラング。ASAP、KPI、ROI、MBA——こういう言葉はコミュニティの一体感を生むが、新しく入った人を疎外する。

カリフォルニア工科大学の実験が面白い。2人1組でほぼ同じオフィスの写真を説明させる。最初は「窓の横に植物があって、机の上に書類が…」と詳しく説明する。でもすぐに短縮される。「壁シダ」「きれいめ」「ごちゃごちゃ」「作家志望っぽい」。

別のチームから人を入れると、会話が崩壊する。

チームA「壁シダだよ、壁シダ」 チームB「壁シダって何?きれいめかどうか教えてよ」 チームA「だから壁シダだって!」

お互い「なんでわからないの?」と苛立つ。でも問題は、相手が何を知らないか、自分にはわからないこと。


明日から使えるアクション

講演者が提案する4つの解決策:

  1. 「当たり前」を確認する:会議で「基本を確認しましょう」と言う「うざい人」になる。単位、定義、前提——ズレてると全部崩れる

  2. 重要な情報ほど共有する:「こんなこと言っていいのかな」と思う情報こそ、チームに必要な情報かもしれない

  3. 同じことを何度も言う:一度言っただけでは伝わらない。違う言い方で、違うタイミングで、繰り返す

  4. 「それどういう意味?」と聞ける空気を作る:略語や専門用語がわからなくても、恥ずかしがらずに聞ける環境が大事


感想

火星探査機の話がインパクトあった。何十億円もかけたプロジェクトが「単位の確認」で失敗する。技術の問題じゃなくて、コミュニケーションの問題。

「重要な情報を持っている人ほど共有しない」というのも身に覚えがある。会議で「これ言ったら的外れかも」と思って黙ることがある。でもその情報がチームには必要だったかもしれない。

「壁シダ」の実験も面白かった。チームが長く一緒にいると、独自の言語ができる。それが一体感を生むけど、新しい人を排除する。15分の講演なので、気になった方はぜひ。


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