座りすぎが寿命を縮める?「30分に5分」の科学

このTEDを一言で
30分ごとに5分だけ動く。たったそれだけで血糖値も血圧もガクッと下がる。2万人で実験して確かめた、デスクワーカー向けの一番シンプルな健康ハック。
講演者について
Manoush Zomorodi(マヌーシュ・ゾモロディ)
ジャーナリスト。「テクノロジーが人の行動をどう変えるか」を10年以上追いかけている。NPRと組んで2万人規模の「Body Electric」研究をやった人。
3つのポイント
1. 今の19歳は、60歳と同じくらいしか動いてない
ジョンズ・ホプキンスの研究で衝撃的な数字が出ている。今の19歳の1日の運動量は、60歳とほぼ同じ。若者の2型糖尿病はこの20年で2倍。アメリカの成人の4人に3人が何かしらの慢性疾患を持っている。
WHOの予測だと、このままいけば2030年代末までに心臓病・肥満・糖尿病で5億件の「防げたはずの」新規症例が出る。年間コストは270億ドル。
タイピング、スワイプ、スクロール、座る——これが現代人の1日。でも「じゃあスマホ捨てろ」は無理。問題はスクリーンじゃなくて、ずっと座り続けていること。
2. 本人が実験したら血糖値がほぼ半分に
コロンビア大学の研究者キース・ディアスは、「座ってても死なない最低限の動き」をガチで研究してる人。2022年に出した結果が、30分に5分動くだけで血糖値と血圧が劇的に下がるというもの。
講演者自身も被験者になった。1日目は8時間ぶっ通しでPC作業。2日目は30分ごとに動いた。結果がこれ:
- 血糖値がほぼ半分
- 血圧が5ポイントダウン
- 気分も明らかに良くなった
「朝ジム行ったから大丈夫」「スタンディングデスクだし」——残念ながらそれでは足りない。1日の大半を座るか突っ立ってるかで過ごしているなら、リスクは消えない。大事なのは長時間の座りっぱなしを中断すること。
3. 2万人でやってみたら、80%が続けられた
NPRとコロンビア大学が「Body Electric」という実験を立ち上げた。2万人が参加。「30分ごと」「1時間ごと」「2時間ごと」から自分のペースを選んで、5分間なんでもいいから動く。
通話中にうろうろする、犬の散歩、ゴミ出し、レンジ待ちにその場で踊る——なんでもあり。最初の数日はキツかったけど、慣れてくるとこんな声が出てきた:
- 体の痛みが減った
- エネルギーが増えた
- 気分が前向きになった
- 仕事の生産性が落ちなかった(むしろ集中力が上がった)
2週間で80%が習慣として継続。こまめに動いた人ほど効果が大きくて、外に出た人はさらに良かった。
なんで効くかというと、座ると股関節と膝で血管が折れ曲がって、脚に血が溜まる。脚の筋肉が止まると脂肪と糖の処理もストップ。さらに横隔膜が圧迫されて呼吸が浅くなり、脳に酸素が行かなくなって集中力が落ちる。スクリーンに集中してると、体が「動きたい」と送ってるサインにも気づかない。
明日から使えるアクション
- デスクワーク中:30分ごとにタイマーを鳴らして、5分だけ歩くかストレッチ
- Zoom会議中:カメラオフのときはその場で足踏み
- 移動中:駅のベンチに座る代わりにホームを一往復
感想
「運動しなきゃ」だとハードルが高いけど、「30分に5分動く」なら正直できそう。
一番刺さったのは、HR担当のダナさんの話。2型糖尿病で薬を飲んでいたけど、会議の合間にちょこちょこ動くようにしただけで血圧が40ポイント下がって、最終的に薬が全部なくなった。朝の長時間ウォーキングでは変わらなかった数値が、「細切れの動き」で変わった。忙しい人こそ試す価値がある。
約10分の講演なので、気になった方はぜひ。